悲しい!ムカつく!この感情はフタをしなきゃいけないの?

感情の取り扱い方

最近は、アンガーマネジメントなどの怒りを予防し、コントロールする方法を
多く耳にするようになりました。
かくいう私も、家族にはお墨付きの短気な子どもでした。

穏やかな人を見ると羨ましく思い、マネをするもうまくいきません。
短気は損気。
成長するにつれ、少しはおさまってきたのですが、
家族や身内になると、怒りんぼの私が出てきてしまいます。

そんな時に、「すべての感情は純粋に味わっていい」
という考えを知りました。
怒りや悲しみは抑えないといけないと思っていた私でしたが、
この考えを知って「いろいろな感情を感じる私」を
受け入れられるようになってきています。

このことを知っていただくと、もしかすると悲しみや怒りは
抑えなければいけないと思っていらっしゃる方も
少し気が楽になるかもしれません。
今回は怒りや悲しもの感情にはフタをしないといけないものなのか?
について話してみたいと思います。

最後までお付き合いいただければ幸いです。

感情はコントロールするものだという思い込み

私は見た目とは裏腹に結構短気でして、
親からは「かんしゃく持ち」と言われていました。
かんしゃくという言葉も分からないときからでしたので、
私の頭の中では今でもかんしゃくはひらがな表記です。

何か気に入らないことがあると、
声色が低く、大きくなってしまいます。
私は怒っているんだぞアピールですね。

怒りをだすことで相手をコントロールしようとしていました。
しかし、いろいろな人間関係を経験していくにつれ、
怒りを表に出すことは得策ではないことを学んでいきます。

私は沸点が低いらしく、周囲は
「え、そこ怒るところ?」という雰囲気をだしてきます。

かくいう私も、お店の店員さんとか会社の部下に
理不尽に怒鳴っている人を見ると
見苦しいなと思っていました。こんな人にはなりたくない!と思いながら、
どうにか怒りの感情をコントロールし、
円滑な人間関係を築こうと努力しました。

そして、もう一つコントロールしたかったのが、
悲しみの感情です。

私は目上の人からミスを注意されると、
涙が勝手に流れてしまうのでした。
感情が高ぶって泣いているわけではなく、
相手に申し訳ないという思いが強く、
冷静なのに勝手に涙が流れる。

そうすると、相手は私が泣いたことにフォーカスしてしまうので、
良い気持ちはしませんよね。
私も別に涙で相手をコントロールしようという思いは
一切ないので、どうにかしたいと常々思っていました。

感情をコントロールしようとした私がぶつかった壁

さて、私がどんな努力をしたかというと、
怒りは顔に出さず、心の中でめっちゃ悪態をつくやり方で
怒りをコントロールしていました。
今思えば、穏やかな顔して心の中では悪口ざんまい。
恐ろしいです。

そんな努力(?)の甲斐あって、職場や友人たちの中では、
かんしゃく持ちの私も出てこず、その中での人間関係も順調でした。

しかし、一つだけ、不具合があったのです。
それはパートナーとの関係においてでした。
2人でいるときは、安心感と日ごろのストレスからか、
あらゆる感情がだだもれです。

パートナーの何気ない一言に腹をたてたり、泣いたりしていました。
パートナーは何が地雷か分からず、げっそりしています。
当の私も、何で彼の言葉にだけこんなに過剰に反応するのか分からず、
私の感情に振り回されている彼を見ると気の毒に思っていました。

時間が経ち、冷静になると反省します。
でも、やめられない。

そんな時に職場で、今はやりの「アンガーマネジメント講座」なるものが
あることを耳にしました。
職場研修の一環で開催されるので、せっかくだからと参加してみることに。

そのときの研修の中で記憶にあるのが、
「怒りを感じたら6秒間我慢する」という方法でした。
怒りのピークは6秒で去っていくので、
その最初の6秒間をしのげば怒りもおさまるそう。

さっそく帰ってやってみるものの、
怒っている私には効果なし。
6秒数えている間にも怒りは増すばかりでした。
そして、悲しいことに1度の講座だけでは、
他に何を学んだのかすっかり忘れてしまっていたのです。

感情はコントロールするのではなく、認めるものだという教え

そんな相変わらずの毎日を送っているときに、
大学で心理学を専攻していたときの、ゼミの先輩と
久しぶりにお話をする機会がありました。

先輩は声が可愛くて、穏やかな雰囲気で大学時代から変わっていません。
私とは反対の雰囲気を持つ先輩は憧れでした。
声が可愛いというだけで、怒っても怒ってないように感じますし。

世間話の中で先輩とアンガーマネジメントの話になり、
6秒我慢するだけじゃ、変わらなかったという話をすると、
私がそのことしか覚えていなかったことに苦笑いされてしまいました。

先輩から「美和ちゃんはどうしても怒りの感情をコントロールしたいのね。」
と聞かれ、大人だから当たり前だと答えました。

アンガーマネジメントの講座でも聞いたはずですが、
怒りという感情は、その前に恐いとか、悲しいとか、恥ずかしいとか
他の感情が隠れているとのことでした。

その感情を感じている自分を隠して、
「怒っている自分」だけをコントロールするというのは難しいのだそうです。
そう言われて、怒っている私を思い出すと、
「話を聞いてくれなくて、悲しかった」
「間違いを指摘され、恥ずかしかった」というような
感情があることに気づきました。

この隠れた感情に気づいて、認めてあげることから
始めるといいのだそう。
確かに言われてみれば、アンガーマネジメントの講座でも
このような話をされたのでしょうが、
怒りをコントロールすることに焦点が当たっていて、
他の話はあまり聞いていなかったようです。

怒りや悲しみの奥に隠れたニーズを探る

先輩の話を聞いて、怒りの感情の奥に隠れた感情があるのを
気づいた私でしたが、なかなか実行するのは難しいものです。

なぜならば、私たちは、子どもの時に、怒っていたり、
悲しんで泣いていたりすると、
「怒るな。」「泣くな。」という風に言われてきたからだそうです。
子どものときに怒りや悲しみの感情を表すと、
我慢をするよう言われてきて育った私たちは、
自分の本当の感情に気づくのが苦手になってきたのでしょう。

確かに幼い子どもは自分の喜怒哀楽を
身体を使って思いっきり表現していますよね。
それを大人の都合で止めさせているうちに、
自分が本当はどう感じていたか気づけなくなっていったのです。

怒りや悲しみの反応は、
自分が本当は何をしたかったか気づいて欲しいという、
自分の中の内なる子どもからのメッセージなのだそうです。

自分は本当は何をしたかったのか=ニーズと言いますが、
大人の私たちはこのニーズをあえて隠しています。

そのニーズは自分では認められなかったり、非合理的だったり、
自分の持っている心の痛みを思い出させてしまうからだそうです。

しかし、人間よくできたもので、このニーズを気づかせようと、
私たちの中でずーーーっと出てくるスキをうかがっているのです。
それはもう何十年に及ぶこともあるそう。
このニーズの執念深さといったら。。

ですので、自分の怒りや悲しみの反応で、
同じパターンを繰り返してしまったり、
なぜか反応してしまうという場面があったら、
それは私たちの中のニーズが気づいてほしいという
合図なのかもしれません。

出てきた感情を味わい、分かち合うことの大切さ

先輩に自分の感情を認めることを教えてもらった私は、
怒りを感じたときに、怒りをコントロールするのではなく、
もう1人の自分を出して、私を斜め上から見る感じで、
「あー、私、今怒ってるなーー、何に反応したんだろ?」
と、怒りの感情を味わう練習をしてみました。

怒っている自分を意識していると、
6秒数えなくても、相手にぶつけずに済むのです。
ですが、日々の事なので、できないこともあります。
そんな時はすぐに怒りをぶつけたことに対して謝れるようになりました。

そして、私は一つ勘違いをしていたことがあったのです。
それは、気心の知れた同士のコミュニケーションは
感じた感情をそのまま相手にぶつけてもいいということです。

何でも話し合えて、受け止めてくれるのが、
理想のパートナーシップだと思っていた私がいました。
そのことも先輩に話すと、
「ぶつけられた方は、たまったものじゃないよね。」
おっしゃる通りです。

じゃあ、どうしたらいいのか尋ねると、
「ぶつけるのではなく、分かち合えばいい。」とのことでした。
「私がこう感じたから、こういう行動になった。」ということを
伝え、さらには
「同じような場面になったら、次はこうしてくれると嬉しい(嫌だと感じる)」
と提案するといいとのこと。

そこで「あなたのせいで、こうなった。」と
相手を責めてしまうと、自分の感情をしっかり味わえないでしょう。
自分が感じる感情は自分自身のものではなく、周りの他人や環境次第という、
不自由な状況になってしまいます。

自分が感じた感情を伝えた後は、
それを受け取った相手がどう感じるかは、相手の領域です。

「そうなんだね。」と共感してくれることもあれば、
「それを聞いて自分はこう感じた」と言われるかもしれません。
しかし、それぞれの感じた感情を認め合え、
自分が相手にやらされていると感じないのが
真のコミュニケーションだといえるそうです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
私も以前と比べて、パートナーに怒る回数は激減しました。

と、言いたいところですが、
まだまだ練習中です。
この練習のプロセスすら新たな発見があり楽しいものです。

喜怒哀楽、自分が感じたどんな感情も大事にして、
自分が感じた感情を他人のせいにするのではなく、
自分の責任で表現していく。

怒りんぼの私でもだいぶマシになってきたのですから、
ぜひ参考にしてみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。